#自粛要請中のうちの子 むにうさ

Twitterのタグに反応したら、どんどん話が繋がっていったものです。
宇佐の作品、「SSスラスト」の周防と佐和、「うさぎ三兄弟の日常」の灯と春樹と猫のフユ
むにの作品「唄いながら歩いていこう」の君と僕などごちゃごちゃと登場人物が入り乱れ、私と宇佐さんがおもしろいだけなんですが気が向いたら読んでみてください。
ちなみに終わりはないようです。
気が向いたら更新されるかもしれません。

#自粛要請中のうちの子

むに
むに

パソコンを背中合わせに僕と君は向かい合わせでそれぞれ仕事。 僕はテレワーク、君はヘッドフォンをしながら何かを打ち込んでいるが不意に僕の足先に触れてきた。君を見ると口の動きだけで(す・き)。 顔が赤くなった僕に画面の先で上司がニヤリとして「仕事中」と笑った。

 

うさ
うさ

テレワーク中は、思いがけないハプニングが起こるよね。 子どもが膝によじ登ってマウスをつかみ、回線を切断してしまうことも、猫がキーボードの上に丸くなってしまうことも、お母さんに「あんた、いつまでパソコンやってんの?!」って怒られてしまうことも。(続)

君の顔が突然赤くなるのも、わかる。視線の動きも見えてるよ。向かい側に素敵な人がいるんだね。 「仕事中」 そうたしなめた僕だって、隣には恋人がいる。 「んー。どうしようかなぁ」 軽い気持ちで呟いて、隣に座る彼に意見を求めた。(続)

 

「ねぇ。これ、どう判断する?」 「どれのこと?」 僕を映すカメラの視野に、恋人が写り込む。会議のメンバーが息を呑む気配が伝わってきて、僕は気づいた。 僕が社長と同棲してるって、まだ誰にも言っていなかった!(終)

むに
むに

(最高だ!!! その時の周防が裸だったり、髪が洗いたてだったりしたら……( *´艸`) テレワークが可能な仕事は限られてるけど、美味しいシチュエーションは無限にあるね!)

うさ
うさ

周防も仕事中だから、服は着ていたけど。 でも、モニター画面に映る僕たちの姿は、プリクラで顔を寄せあってるカップルと大差なかったよ……恥ずかしい……///

むに
むに

僕は画面に映る社長と副社長の距離感にドキドキしながら思わずスクショした。

うさ
うさ

し、しなくていいよ、そんなの! あー、もうこのまま一生テレワークしていたい。会社行きたくない! 恥ずかしい!

むに
むに

社長はすましてたけど副社長は顔を赤くして「ちょっと失礼」と画面から外れた。 素顔はあんな感じなのか、かわいい。きっとほかのメンバーも同じこと思ってる。

うさ
うさ

自宅だからって、髪も上げず、伊達メガネも掛けずにいたのは失敗だった。 顔を洗って、せめてメガネだけは掛けて。 「失礼しました」 会議に戻ったけれど、それでも右隣にいる周防の真面目な姿を、右半身全部を使って意識してしまう僕は、恋を知り始めたばかりの中学生みたいだ。

むに
むに

席に戻った副社長はいつものように眼鏡をかけていた。クールな眼差しが、かえってさっきの状況を意識させる。 上司じゃなかったら次に出社した時にあれこれ問いたくなるやつだ。

うさ
うさ

僕は気を取り直し、目の前の課題に取り組む。昼近くになって、どうにか予定通りの進行を取り戻した。 昼休みを前に、周防のミーティングが先にブレイクした。 「佐和、昼メシ作るけど、何が食べたい?」 「カルボナーラ。……って、ナチュラルに話しかけてくるなよ!」 参観日の母親並に恥ずかしい…

むに
むに

テレワーク、いいな。 画面に猫や子どもが現れて、時々流れを遮るけどそれも家庭が垣間見える。 昼食にカルボナーラをリクエストするのを羨ましく思い、僕も席を立った君に(おなかすいた)と口を動かす。 立ち上がって音に乗るように体を動かしていた君は親指を立てて踊るようにキッチンへ向かった。

うさ
うさ

何か口を動かす様子が見えて、背後に男性の後ろ姿が見えた。グランジ好きな周防の私服もボロいけど、それとはまた違う、不思議なセンスのボロボロなシャツを着ていた。ファッション業界の人なのだろうか。会社で見る彼はいつもきちんとした服装だから、その同居人の服装は意外だった。

むに
むに

僕の後ろを君が通り過ぎるとき、画面を覗くのかと一瞬焦った。家で仕事する方が緊張感あるなぁ。 君は僕が家にいることが楽しいみたいでいろいろ世話を焼いてくれる。飲み物も常に用意してくれて意外にマメな一面を発見してる。 そろそろブレイクかな。

 

うさ
うさ

「1時間後に再開しましょう」 ディレクターの仕切りで回線を切ったタイミングで、できたてのカルボナーラにありついた。 「周防は、麺類と卵の組み合わせが好きだね。とても美味しい」 少しだけパソコンを脇へよけて、見つめあってのランチタイム。昨夜僕が炊飯器に仕込んだオニオンスープも美味しい

むに
むに

ヘッドセットを外してキッチンを見ると、唄いながらフライパンからお皿に盛り付けている。醤油の香りの焼きうどんだ。君は野菜たっぷりに作ってくれる。 「美味しそう」「お疲れさま、冷めないうちに食べよう」僕はいつも君がするように、そっと後ろからハグをした。

うさ
うさ

テーブル越しに互いの口についたソースを舐めとるキスをしていたとき、パソコンの画面が動いていることに気づいた。 「回線、切れてない?!」 青ざめたが、カメラは後方のカーテンだけを映していて胸をなで下ろした。 が、不思議な服を着ている彼とのキスシーンを見てしまった! 気づいてくれ!

むに
むに

君は僕が積極的なのをいいことに「冷めちゃうよ」と言う僕を抱きしめてソファまで進んできた。「待って」と言った時には思い切り唇が重なっていて、僕は力が抜けそうになる。 視線をパソコンに向けた時、「あっ」そのまま君を押しのけた。 回線繋がってる!画面映ってる!!!

うさ
うさ

ほかのメンバーはきちんと回線を切っていて、目撃してしまったのは僕と周防だけだ。 こういうとき、どうしたらいいんだろう。迷っているあいだに、周防がカメラに向かって手を振った。 それから僕の肩を抱いて軽いキスをして見せ、ウィンクしながら、唇の前に人差し指を立てる。

むに
むに

焦って画面を覗くと社長が人差し指を立てナイショの合図をしてくれた。キスのおまけつき。ラブラブじゃん!いや、僕たちもだけど。 機転のきく社長を尊敬する。 僕は君を画面の前に連れてきて二人で手を振ってから頭を下げた。

うさ
うさ

「またあとで」 今度こそ回線を切って、その瞬間に周防は社交ダンスのように勢いよく僕の手をひき、リビングへ出て、そのまま僕のことをソファに押し倒した。膝のあいだには周防の脚があり、唇には周防の唇が重なって、あまつさえ舌を受け入れてしまう。 「5分で終わらせる」「10分使ってよ」

 

むに
むに

「社長、カッコイイでしょ」 「スマートだ、悔しい!オレもカッコイイのに」 君は悔しそうに僕を抱きしめたけど「食事したい」という唇にそっと触れてテーブルへと手を引き椅子を引いた。「どうぞこちらへ」 僕は笑って椅子に座り手を合わせて君の作った焼きうどんを食べちょっと大袈裟に喜んだ。

うさ
うさ

僕たちはきっちり10分使って、残りの5分で身だしなみを調えて仕事に戻った。 午後は周防たちも合流してのミーティングだ。それぞれ発言するときはカメラに向かっているけれど、相手の発言を聞くときは僕は右隣を、周防は左隣を見てしまうので、気づくたびに背筋を伸ばしてごまかした。

むに
むに

僕は少し緊張しながら午後からの仕事に入った。秘密を共有していると思うだけで二人の間の空気を読んでしまい、時々下を向く。 僕もなるべく見ないようにしているけど無意識に目だけ君を追っていたりする。仕事だから違う部屋でやれば良かったけど、さっきのでなんとなく許された気もしてる。

 

うさ
うさ

猫まで参加するWeb会議というのも悪くない。 つい互いを見てしまう自分の視線が気になっていたけれど、猫の仕草に気が紛れて、会議は和やかに進行した。 その猫はたまにキーボードをイタズラする。そのたびに単語登録されているのか『半生タイプまぐろ味』『黒缶』『猫草』などという文字が出て面白い

むに
むに

「ぷっ」と誰かが吹きだした。「宇佐木くんの家の猫はグルメなんだね」 画面を横切る猫が見えた。 顔は見えてもやはり同じ空間で接して仕事を進めるのとは違うからこういう癒しがあると、微妙な緊張が和らいでいいものだ。 うちの大きな猫は後ろのソファでブランケットに包まって丸くなっている。

うさ
うさ

「す、すみません。ウチの猫、食いしん坊なんです」 僕はフユを抱き上げて床に下ろし、マイクをミュートにする。 「灯(ともす)と一緒に大人しくしてて」 灯はローテーブルに載せたパソコンに向かって別のミーティングに参加していた。 「あ、わかります? 宇佐木さんちです」正直者だなぁ。

 

むに
むに

オレ様は単語登録してあるパソコンから遠ざけられた。かわりに最近よく入り浸っている灯とかいう男の膝の隙間に押し込まれる。こいつはよく春樹と腰を擦り付けあってるやつだ。 そして猫のツボをよく知っていて、オレ様の希望通りの場所を撫でながら春樹のことをいろいろ聞いてくる猫たらしだ。

うさ
うさ

「フユ様は今日もカッコイイね。サバトラ模様が輝いてる。貫禄もたっぷり、ボスの風格がある。フユ様みたいに仕事ができる人は、國語で能幹(ネンガン)って言うんだよ」 灯はフユの顔の周りを指先で優しく掻きながら、話しかけている。 「春樹、俺以外の男とエッチしてない? してたら教えてね」

むに
むに

この男は意外と独占欲が強そうだ。そしてオレ様を使って春樹の行動を調べるなど誰よりもわかっている。 オレ様はしばし考えた。兄弟で3Pというのをしていたのは他の人とやったことになるのかならないのか。 一応、兄弟であるからそのあたりはオレ様だって気をつかう。 撫でる指をザリザリと舐めた。

 

うさ
うさ

僕はマイクをミュートにし、書類を探すふりで席を離れた。 猫を撫でてだらける男と、男に撫でられてだらける猫の前に立ち、腰に手をあてる。 「灯、うるさい! 僕は浮気なんかしていない。フユも答えなくていいから! 暇なら屋上でボール遊びでもしてきなよ」 灯とフユはすごすご部屋を出て行った。

 

むに
むに

オレ様はボール遊びなんてしない。だがこの男はオレ様を抱き上げて部屋を出る。お前は仕事は… 「怒られちゃったね。でも本当に春樹に何かあったら教えて」 屋上のベンチでオレ様の腰の当たりを撫でながら遠くをみている。こいつになら春樹を任せても大丈夫だがもし情報が欲しいなら美味いもんよこせ。

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